Discography
NuRi-eMaKi(ぬりえまき)

マノスベ Ma no Sube / NuRi-eMaKi NRCD-002

時の流れを振り返ると、そこに悠久の歴史がある。
躍動感溢れる演奏と巫女を連想させる歌声は、古代の国造りへといざない、魅力的だ。

美内すずえ

マノスベ(ジャケット)
2010年8月4日発売(フライヤー表
¥2,200(税込)
お問い合わせ order@nuriemaki.com / TEL 090-6950-2929

収録楽曲

  1. 宝船
  2. 振動明
  3. いろはうた
  4. 上昇白龍
  5. エサヤ
  6. 会いたくて
  7. 響想曲マノスベ 間の術
    ヒ)  道行き
    フ)  マノスベテーマ 混沌
    ミ)  アメツチ
    ヨ)  マツリ
    イ)  巫女鳥
    ム)  マノスベテーマ 叡智
    ナ)  行く末
  8. 入道光

演奏

CD「マノスベ」に寄せて

美内すずえ

 kirilo’la’さんの歌声を聞いていると、言葉が「言の葉」と表現されていたことを思い出す。
言の葉を並べ、そのリズムを楽しむ。
 やがてそれは「言霊~コトダマ~」となって、森羅万象に響き渡る。音楽もまた、木や石を叩いたり草を吹いたりして、音を楽しんだことからきている。伐った木に穴を開けて叩くと面白い音がする。薄い石を木にぶら下げて叩くと、面白い音がする。土の壷を、叩くところを変えただけで音が色々変化する。それが面白くて楽しい。そんな人間がたくさん集まって「神降ろし」の名のもと、あるいは「神への奉げもの」として、古代の演奏会があったのではないかと思う。巫女が唄をうたい、神官たちが、音を奏でる。
 CD『マノスベ』を聴いていると、そんな遥かな時代と現代の音楽演奏の様子が、ふと重なって感じられる。躍動感溢れる演奏は、物語を感じさせて魅力的である。
 神話の時代、岩戸に隠れてしまった大神を呼び出すのに大コンサートが行われた。観衆は八百万の神々。高天原最大のコンサート会場だったに違いない。祝詞のリズムに、木の枝につけた五百の勾玉をふるわせる音、伏せた桶のような舞台で足拍子をとりながら舞う巫女のしぐさに、八百万の神々の笑いが響く。岩戸が開いて大神が現われ、やがて長鳴き鳥が、夜明けを告げる一声を発する。こうして「岩戸開き」は終わるのだが、岩戸開きとは何なのだろうか。「岩戸」とは堅く閉ざされた自らの心と精神の扉であり、自らの「神」を深く押し込めている状態なのではないか。
「岩戸開き」は、その「神」の開放である。
「音」は神を呼び出す「波動」である。
「夜明け」とは「世開け」である。
 自らの「神意識」を呼び戻した人々が、今までの価値観を変えて、やがて新たな文明を創りあげていく、それが「岩戸開き」なのではないだろうか。

 1980年代からおき始めた「岩戸開き」への気づきは、近年益々盛んになっている。
精神世界に興味を持ち、神社や聖地を巡る人々が増えている。自らの「岩戸」が開きかけていることを、どこかで自覚しているのではないかと思う。金や物質が価値観の中心であった時代から、神聖なる心と、魂の成長が尊ばれる時代への移行が進みつつある。
 それは地球の自然環境や他の生命への思いやりへと拡がり、そういった意識の変革にともなって政治や経済は変化、新たな文明へとやがて繋がっていくものと予感する。
 長鳴き鳥の一声はまだまだ先のようだが、神代も現代も「岩戸開き」は「音」から始まる。

2010.夏.


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